なぜ抗うつ薬が効かない人がいるの?
うつ病治療の中心となるのが抗うつ薬。
いったいどのように効くのでしょうか?
神経細胞から放出されても信号の伝達に使われなかった神経伝達物質は、再利用されるために神経細胞に回収されます。
抗うつ薬の多くはこの回収扉にフタをすることで、神経伝達物質を増やす働きをしてくれます。
さらに、こうして神経細胞間の信号の伝達がよくなると、神経細胞から栄養因子と呼ばれる物質が分泌され、弱ってしまった神経細胞が修復されたり、再生したりするのです。
しかし、Aさんは10種類以上の抗うつ薬を使ったのに、5年半にわたり、うつ病に悩み続けています。
なぜこれほど長い間、治らないのでしょうか?
実は抗うつ薬の効き方には個人差があるのです。
その原因の一つは、神経細胞にある神経伝達物質の回収扉の形にあると考えられています。
この扉の形は誰でも同じというわけではないので、抗うつ薬のフタが合わないことがあります。
このため、信号の伝達をよくすることが出来ない場合があるのです。
現在、日本で使われている抗うつ薬は十数種類。
効果が現れるかどうかは飲んでみないと分からないため、一つずつ試すというのが現在の治療法です。
少しずつ薬を増やしていくため、効果を見極めるためには、およそ3か月程度かかるといわれています。全く効果が現れなかったり、副作用が強くでた場合、違う薬に切り替えますが、その場合でも、薬の量を徐々に減らしていくため、次の薬に切り替えるまでに数週間かかることもあります。
どうしても時間がかかってしまう場合もあるのです。
※症状や薬の効き方などは、様々な要因で変わります。また、強い副作用がでる場合があります。服用する抗うつ薬の量、期間については、医師の指示に必ず従ってください。