肩関節の構造
肩関節とは、主に背中側に位置する肩甲骨と、二の腕の骨である上腕骨から成る関節を指します。上腕骨の先端は肩甲骨の浅いくぼみにはまっており、非常に不安定です。肩関節の周辺にはほかに3つの関節があり、肩関節を含めた4つの関節が連動することで、肩や腕はさまざまな動きが可能になっています。
肩関節の周辺には、筋肉のほか、骨と骨をつなぐじん帯や、筋肉と骨をつなぐ腱[けん]が複雑に入り混じっています。さらに、腱板という板状の腱が、上腕骨と肩甲骨をつないでいます。この腱板は大きな負担がかかる部位でもあり、腕を上げる動作を繰り返していると、やがて腱板が傷んできます。
肩の痛みの原因
肩の痛みが起こる原因には主に五十肩(肩関節周囲炎)、石灰沈着性肩関節周囲炎、肩腱板断裂の3つがあり、いずれも「突然激しく痛む」「腕の外側が痛む」「腕を動かすと痛む」「夜眠れないほど痛む」などの症状が現れます。しかし痛みの原因や対処法は異なるため、自己判断せずに医療機関を受診してください。
五十肩は最もよく見られる肩の病気です。肩関節を覆う関節包や、腱板の周囲にある滑液包に炎症が起き、周辺が癒着するため、腕を動かすときに痛みが生じます。50歳代だけではなく、30~70歳代の幅広い年代で発症します。
石灰沈着性肩関節周囲炎は、肩関節の周辺、特に腱板に石灰(カルシウム)が沈着することで炎症が起こり、非常に強い痛みが現れます。原因はよくわかっていませんが、40~50歳代に発症しやすく、特に女性に多く見られます。
肩腱板断裂は、肩関節の腱板が断裂し、炎症が起こって痛みが現れる病気です。肩の使い過ぎによって腱板が傷ついてすり切れ、最終的にあなが開きます。加齢や肩への負担が主な原因で、60歳代から発症頻度が高くなります。
痛みの原因を調べるには
医療機関でまず行われるのは、視診と触診です。左右の肩の筋肉のつき方を見比べたり、触って痛みがある場所があるか、腕を上げようとしたときに痛みがあるか、などを調べます。必要に応じて画像検査も行われます。石灰沈着性肩関節周囲炎が疑われるときはエックス線検査が有効です。肩腱板断裂が疑われる場合は、MRI(磁気共鳴画像)検査で腱板の状態を確認できます。