「インフル」「ノロ」…感染症を予防する“正しい手洗い”とは

 

 寒さが本格化するこれからの季節は、インフルエンザやノロウイルスによる感染性胃腸炎などの患者が最も増える時期だ。特に子供の場合は、感染で重症化することもあるので注意が必要だ。ワクチン接種や手洗いなどの予防対策をしっかり行おう。重症化防ぐワクチン毎年1月から3月にかけて患者が増加するインフルエンザ。予防にはワクチン接種が有効だ。学級閉鎖が行われるなどすでに流行している地域に住んでいる場合は、「今さら接種しても意味がない」と思うかもしれない。しかし、小児科医でNPO法人「VPD(ワクチンで防げる病気)を知って、子どもを守ろうの会」の薗部友良(ともよし)理事長は「インフルエンザは夏まで流行が続くこともある。これからでも遅くはないので、未接種ならワクチンを受けた方がいい」と指摘する。インフルエンザワクチンは、はしかワクチンのように発病をほぼ確実に阻止するほどの効果は期待できない。しかし、高熱などの症状を軽くし合併症による入院や死亡を減らす効果がある。日本では年に数百人の子供がインフルエンザによる高熱が原因で脳症になっており、重症化を防ぐためにもワクチン接種は必要だ。

十分な免疫をつけるため、13歳未満の子供は4週間隔で2回の接種を受けることが勧められる。

また、ウイルスを家に持ち込まないために、保護者が接種しておくことも重要だ。

高熱が出て、だるさや頭痛などの症状があるときは医療機関を受診し、簡易検査などでインフルエンザと診断されたら、処方された抗インフルエンザ薬を指示に従って服用する。

子供の場合、インフルエンザによる高熱などが原因で高いところから飛び降りるなどの異常行動がみられることがある。寝ている間も時々、子供の様子を確認した方がいい。

習慣づけが大切食中毒や感染性胃腸炎を引き起こすノロウイルスは今のところ有効なワクチンがない。ノロウイルスは感染力が非常に強く、手指や食品を介して口から感染する。このため、予防にはまず、手洗いをしっかり行うことが大事だ。ノロウイルスによる食中毒は、かつてはカキなどの二枚貝が原因とされることが多かった。しかし、最近は感染者が調理することで食品が汚染され、それを食べた人が感染するケースが圧倒的に多い。感染後、全く症状が出ない人もいるが、その場合も1~2週間はウイルスを排出し続ける。家庭で調理をする場合は症状の有無にかかわらず、調理前に丁寧に手を洗おう。手洗いは、せっけんを十分泡立て、指先、爪の間、指の間、親指の周り、手首まで念入りに洗い、十分に水や温水で流し、洗い終わった手はペーパータオルや清潔なタオルでよくふく=図参照。

感染症に詳しい川崎市健康安全研究所の岡部信彦所長は「トイレの後や食事の前にはせっけんと流水でしっかり手を洗うことを習慣づけてほしい」と話している。

新学期で流行拡大も

厚生労働省によると、全国約5000カ所の医療機関から最新週(昨年12月22日~28日)に報告されたインフルエンザの患者数は1医療機関当たり26.63人と前週の15.17人よりも増加。都道府県別では、埼玉▽神奈川▽福岡▽岩手▽長崎▽香川▽大阪▽北海道▽千葉▽東京-の順で、警報の目安となる30人を超えたのは12都道府県だった。まもなく全国で流行のピークを迎えそうだ。

流行しているのはA香港型で、高齢者は重症化しやすい。厚労省は「新学期が始まり、流行がさらに拡大する恐れが高い」とし、手洗いやうがいなどの徹底を呼びかけている。

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